建てた工務店が倒産しても安心
― 新築10年以内なら「瑕疵保険」で雨漏り補修が可能です ―

- 1. ― 新築10年以内なら「瑕疵保険」で雨漏り補修が可能です ―
- 1.1. ■ 「工務店が倒産してしまった…」でも、家は守れます
- 1.2. ■ 「瑕疵保険」とは? 〜10年間、家を守るセーフティネット〜
- 1.3. ■ どんな部分が対象になるのか?
- 1.4. ■ 工務店が倒産しても保険は有効です
- 1.5. ■ 保険を使うには「原因特定」が鍵となります
- 1.6. ■ お客様の手続きの実際の流れ(工務店や建設会社が倒産している場合)
- 1.7. ■ 雨漏りが発生したら、まずやるべきこと
- 1.8. ■ 瑕疵保険は“施工不良の保険”、火災保険は“災害の保険”
- 1.9. ■ 協会の役割 ― 科学的調査で建物を守る
- 1.10. ■ まとめ
- 1.11. 🗝️ 最後に
■ 「工務店が倒産してしまった…」でも、家は守れます
新築住宅を建てて数年後、
「工務店が倒産していて、どこに相談すればいいかわからない」
という声をよく聞きます。
雨漏りや外壁のひび割れが起きても、
建てた会社がもう存在しない場合、補修や相談先がなくなってしまう――
そんな不安を抱える方が、全国で増えています。
しかし、実は国の制度として、
「瑕疵(かし)保険」=住宅の欠陥を守る仕組みがあり、
工務店が倒産していても、保険が生きていれば補修費が出る場合があるのです。
■ 「瑕疵保険」とは? 〜10年間、家を守るセーフティネット〜
瑕疵(かし)とは、「欠陥」や「不具合」という意味です。
国が2009年に施行した「住宅瑕疵担保履行法」により、
新築住宅を販売・建築する事業者(工務店・ハウスメーカー)は、必ず瑕疵保険に加入する義務があります。
この制度は、住宅の「構造上重要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」に欠陥が見つかった際、
引き渡しから10年間、補修費を保険でカバーする仕組みです。
つまり、
🔹 施工業者が倒産しても、
🔹 引渡しから10年以内であれば、
🔹 保険法人に直接請求できる
というのがこの制度の最大の特徴です。
■ どんな部分が対象になるのか?
主な対象は次の2つです。
区分 | 内容 |
---|---|
構造耐力上主要な部分 | 基礎・柱・梁・床・屋根・耐力壁など |
雨水の浸入を防止する部分 | 屋根・外壁・防水層・サッシ廻りなど |
このうち、「雨漏り」はまさに瑕疵保険の対象範囲です。
引渡し後10年以内に雨漏りが発生し、
それが施工不良などによるものと確認できれば、
保険法人が補修費を負担してくれます。
■ 工務店が倒産しても保険は有効です
多くの方が勘違いしているのがここです。
保険契約者は工務店ですが、
工務店が倒産しても、保険法人に施主(建物所有者)が直接請求できるようになっています。
主な指定保険法人は次の5社です。
- 住宅保証機構(まもりすまい保険)
- 日本住宅保証検査機構(JIO)
- ハウスプラス住宅保証
- 住宅あんしん保証
- ハウスジーメン
これらは国土交通大臣に登録された保険法人で、
工務店が倒産しても、施主の代わりに保険金支払い・補修手配を行います。
■ 保険を使うには「原因特定」が鍵となります
瑕疵保険を利用するには、
「雨漏りや欠陥の原因が施工不良であること」を立証する必要があります。
このとき、第三者機関による調査報告書が非常に重要な役割を果たします。
一般社団法人 赤外線サーモグラフィ雨漏調査協会では、
赤外線カメラと紫外線調査液を併用し、
構造を壊さずに雨水の浸入口を特定・可視化することができます。
🔹 赤外線:湿潤部分の温度差を検出
🔹 紫外線:水の浸入口を蛍光した水で特定
紫外線調査液は、水の浸入口を蛍光反応で特定し、
屋内側の漏水箇所との関連を立証することで原因を明らかにします。
この2つを組み合わせることで、
「どこの浸入口から」「なぜ漏れているのか」を
科学的に特定できるため、
保険会社や鑑定人にとっても客観的な証拠資料になります。
■ お客様の手続きの実際の流れ(工務店や建設会社が倒産している場合)
- 保険証券を確認
新築引渡し時に「まもりすまい保険」や「住宅瑕疵担保責任保険」などの証券を受け取っていれば、
その保険が現在も有効である可能性があります。
引渡し日から10年以内であれば、まずこの証券を探して確認しましょう。 - 保証会社(保険法人)に直接連絡
証券に記載されている窓口へ連絡し、
工務店が倒産していること・雨漏りが発生していることを伝えます。
手続きの流れや必要書類、対応方針を案内してもらえます。 - 第三者による原因調査
赤外線サーモグラフィや紫外線トレーサーを用いた非破壊調査で、
雨水の浸入箇所や経路を科学的に特定します。
この調査結果が、保険申請の際の「原因立証資料」として役立ちます。
ただし、保証会社(保険法人)から調査会社へ正式な依頼がない場合
(調査を施主様から調査会社(当協会含む)へ直接依頼した場合)
施主様ご自身で一旦、調査費用をご負担いただく必要があります。
また、調査の結果「雨漏りではなかった」または「経年劣化などで保険対象外」と判断された場合は、
調査費用が保険金として支払われない場合もあります。
そのため、実際に調査を行う前に、
まずは保証会社(保険法人)へ相談し、手続きの流れや費用負担の有無を確認することをおすすめします。
- 保険法人が補修を実施または費用支払い
原因が保険対象の「施工不良」と認められた場合、
保証会社が指定業者を派遣して補修を行うか、
もしくは補修費を直接施主に支払います。
なお、瑕疵保険の調査・補修対応は、
保証会社の判断によりその調査部門や委託先の別の調査会社が対応する場合もあります。
当協会としては、こうした制度や流れを建物オーナー様に正しく理解していただくために、
本コラムを情報提供の目的で掲載しています。
まずは、保険証券に記載の保証会社へ相談し、
その上で必要に応じて第三者調査をご検討ください。
■ 雨漏りが発生したら、まずやるべきこと
✅ 「いつ建てたか(引渡日)」を確認
→ 10年以内かどうかが最初の判断基準です。
✅ 「保険証券」があるか探す
→ 工務店名・保険法人名が記載されています。
✅ 「原因特定」を優先する(保証会社への相談後でよい)
→ 修理を急ぐよりも、まずどこから漏れているかを科学的に調べることが重要。
→ これがないと、保険会社も判断ができません。
■ 瑕疵保険は“施工不良の保険”、火災保険は“災害の保険”
よく混同されますが、
瑕疵保険は「施工上の欠陥」に対する補償であり、
自然災害や経年劣化は対象外です。
一方、台風や大雨などの被害は火災保険・風災補償の対象になります。
つまり、
施工ミスによる雨漏り → 瑕疵保険
災害による破損 → 火災保険
という棲み分けになります。
この両者を適切に使い分けることで、
補修コストを最小限に抑えることが可能です。
■ 協会の役割 ― 科学的調査で建物を守る
私たち、一般社団法人 赤外線サーモグラフィ雨漏調査協会は、
「施工業者ではない中立的な第三者機関」として、
全国で非破壊型の雨漏り調査を行っています。
工務店が倒産していても、
瑕疵保険の対象であれば、原因を正確に突き止めることで
補修費の保険適用を支援できます。
また、保険の対象外であっても、
再発防止のための調査・報告書作成・修繕提案まで一貫対応しています。
🔍 科学的に可視化する
🏠 建物を正確に守る
これが当協会の使命です。
■ まとめ
- 新築住宅には「瑕疵保険」が10年間ついている
- 工務店が倒産しても保険は有効
- 保険適用には「施工不良の証拠(原因特定)」が必要
- 赤外線+紫外線調査で非破壊かつ科学的に特定可能
- 全国対応・中立的立場で建物オーナーをサポート
🗝️ 最後に
「工務店がなくなってしまったから、もうどうにもならない」
そう思う方が多いですが、実際には“建物を守る仕組み”が用意されています。
瑕疵保険がまだ生きているなら、それを活かすために。
そして、保険の有無に関わらず、再発を防ぐために。
まずは、瑕疵保険の内容を確認したうえで、
必要に応じて赤外線・紫外線による第三者調査をご検討ください。建てた会社がなくても、建物を守る方法はあります。
私たちが、そのお手伝いをいたします。