雨漏り調査で
「カメラより大事なもの」 とは何か

雨漏り調査の相談を受けると、
「どんなカメラを使うのですか」
と聞かれることがあります。
赤外線サーモグラフィカメラは、
雨漏り調査において非常に有効な機器です。
しかし、私たちは
「良いカメラを使えば原因が分かる」
とは考えていません。
雨漏りは、
単純な現象ではないからです。
調査で本当に重要なのは、
どの道具を使うかではなく、
どのように考え、どのように確かめるか
という姿勢です。
調査結果は「一本の線」ではない
雨漏り調査は、
一本の線をたどって
答えに行く作業ではありません。
複数の情報を
重ね合わせながら、
全体像に近づいていく作業です。
この考え方を
図を使わずに言葉で表すと、
「点・線・面」
という構造になります。
浸入口は「点」として確認される
紫外線調査液を用いると、
屋外から散水した水が、
どこから建物内へ浸入したのかを
発光によって確認することができます。
浸入口と発光箇所を
紐づけることができるため、
「ここから水が入った」
という事実を
明確な 点 として示すことができます。
この点は、
雨漏り原因を特定する上で、
非常に強い証明になります。
赤外線サーモグラフィは「屋内」で使う
赤外線サーモグラフィカメラは、
屋内で使用し、
漏水の影響が現れている箇所を
熱画像として確認するための機器です。
天井裏に回ってきている水や、
内壁の内部に浸入してきている水は、
蒸発や含水の影響により、
周囲より 低温部 として
現れることがあります。
赤外線サーモグラフィは、
こうした屋内側に現れる温度差を、
面 として捉えることができる点に
大きな特徴があります。
なお、
散水調査を前提としているため、
サーモグラフィを屋外から使用して
外壁や屋根を確認することは行っていません。
見えない「線」は考察になる
紫外線調査液によって、
浸入口を 点 として
証明することはできます。
一方で、
水が建物内部を
どのような経路で移動したのか、
その経路そのものを
直接見ることはできません。
また、
赤外線サーモグラフィで確認できるのは、
あくまで 屋内側に現れた結果
としての温度分布です。
そのため、
- 屋外で確認された浸入口という 点
- 屋内で確認された低温部という 面
この位置関係を踏まえ、
建物の構造
材料の特性
天井裏や壁内の納まり
重力や水の回り込み方
実際の雨漏りした時の、風の強さ、風向き、雨の量
これらを考慮しながら、
内部の水の動きを
線 として考察していきます。
この線は想像ではありますが、
根拠のない推測ではありません。
点・線・面を重ねるという調査姿勢
浸入口という 点
温度分布という 面
考察された水の 線
これらを何度も照らし合わせ、
矛盾がないかを確認していきます。
- 点がずれていないか
- 面が不自然ではないか
- 線に無理がないか
この作業を通じて、
想像は、
根拠を伴った説明 へと
近づいていきます。
協会としての立場
赤外線サーモグラフィは、
屋内の漏水影響を把握するための道具 であり、
紫外線調査液は、
浸入口を証明するための手法 です。
それぞれの役割は異なり、
どちらか一方で
調査が完結するものではありません。
赤外線サーモグラフィ雨漏調査協会は、
特定の機器や手法を
万能だと考えることなく、
複数の調査結果を重ね、
公平で再現性のある調査 を
大切にしています。
おわりに
雨漏り調査で
本当に大切なのは、
どのカメラを使うかではなく、
どのように考え、どのように確かめるか。
道具は、あくまで手段です。
協会として、
これからも
誠実な調査を
積み重ねていきます。


