雨漏り調査の費用はいくら?木造・鉄骨造・RC造で異なる調査方法と料金の考え方

「雨漏り調査を依頼すると、いくらくらいかかるのでしょうか?」
雨漏りについてお問い合わせをいただく際、よく聞かれるのが調査費用についてです。
インターネットで調べると、数万円程度の調査から数十万円以上の調査まで、さまざまな料金が掲載されています。
そのため、
「なぜこれほど費用に差があるのか」
「自宅の場合はいくらくらいかかるのか」
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
雨漏り調査の費用は、建物の大きさだけで決まるものではありません。
木造、鉄骨ALC造、RC造といった建物構造の違いに加え、雨漏りしている箇所数、調査範囲、高所作業の有無、散水試験や赤外線サーモグラフィ、紫外線調査液などを使用するかによっても変わります。
今回は、それぞれの建物構造における雨漏り調査の特徴と、調査費用の考え方について解説します。
雨漏り調査の費用は「建物の面積」だけでは決まらない
一般的な建物調査では、床面積や外壁面積をもとに費用を算出するケースがあります。
しかし、雨漏り調査の場合は、必ずしも面積だけで費用が決まるわけではありません。
たとえば、同じ延床面積100㎡の建物でも、
・雨漏りしている場所が1箇所なのか複数なのか
・屋根からの雨漏りなのか外壁からなのか
・平屋なのか3階建てなのか
・足場や高所作業車が必要なのか
・散水試験をどの範囲で行うのか
・赤外線サーモグラフィや紫外線調査液を使用するのか
によって、必要な時間、人員、機材が変わります。
そのため雨漏り調査では、
「建物が何㎡あるか」
ということ以上に、
「どの構造の建物で、雨漏りしている箇所が何箇所あり、どこまで調査するのか」
が重要になります。
また、「雨漏り調査」という言葉自体にも幅があります。
外観を目視して原因候補を確認する調査もあれば、実際に散水を行い、雨漏りを再現しながら浸入箇所を一つずつ確認する調査もあります。
調査費用を比較するときには、金額だけでなく、その料金の中にどこまでの調査が含まれているのかを確認することが大切です。
木造住宅の雨漏り調査
戸建住宅で多く採用されているのが木造建築です。
木造住宅では、屋根、外壁、バルコニー、サッシ周辺など、さまざまな場所から雨水が浸入する可能性があります。
特に確認することが多いのは、
・屋根
・バルコニー
・サッシ周辺
・外壁
・笠木
・換気口
・配管貫通部
・外壁と屋根の取り合い部分
などです。
木造住宅の雨漏りで難しいのは、室内で雨漏りが確認される場所と、実際に建物外部から雨水が浸入している場所が一致しないことです。
たとえば、2階の外壁から浸入した雨水が壁の内部を移動し、1階のサッシ周辺から室内へ現れることもあります。
ただし、壁の内部をすべて直接確認できるわけではありません。
そのため、雨水が壁内をどのように移動したのかについては、建物構造や漏水位置、調査結果などをもとに推測することになります。
調査では、まず目視や赤外線サーモグラフィなどを用いて建物や室内の状況を確認し、雨水の浸入が疑われる箇所を絞り込みます。
そのうえで散水試験を行い、実際の降雨に近い状況を再現しながら、雨水が建物へ浸入する箇所を一つずつ確認していきます。
さらに必要に応じて、紫外線で発光する調査液を使用し、複数の浸入箇所や雨水の移動を識別しながら、原因となる箇所を特定していきます。
木造住宅の調査費用の目安
木造住宅では、雨漏り1箇所の調査で約25万円からが一つの目安になります。
雨漏りしている箇所が2箇所ある場合でも、単純に25万円×2箇所で50万円になるとは限りません。
同じ建物内で機材や準備作業を共通化できる場合には、
1箇所目 約25万円
2箇所目 +約7万円
といったように、2箇所目以降を追加調査費として加算する考え方があります。
ただし、雨漏りしている場所が大きく離れている場合や、それぞれで異なる調査方法が必要になる場合には、追加費用が変わることもあります。
また、木造住宅でも2階や3階の外壁、屋根などを調査する場合には、足場や高所作業車が必要になることがあります。
これらの費用は、雨漏り調査費とは別途必要になります。
鉄骨ALC造の雨漏り調査
鉄骨造は、住宅だけでなく、工場、倉庫、店舗、事務所、集合住宅などにも多く採用されています。
その中でもALCパネルを外壁に使用している建物では、
・ALCパネルの目地
・サッシ周辺
・シーリング
・笠木
・外壁貫通部
・外壁と屋根の取り合い
・折板屋根の重ね部やボルト周辺
などが主な調査対象になります。
鉄骨ALC造では、外壁材の裏側や下地部分へ雨水が入り込み、鉄骨や下地材などを伝って別の場所へ移動することがあります。
そのため、室内で漏水している位置の外側だけを散水すれば原因が分かるとは限りません。
複数の目地や取り合い部分を順番に散水し、漏水の再現状況を確認しながら調査を進める必要があります。
また、鉄骨ALC造は木造住宅に比べて外壁面が大きく、高さのある建物も多いため、調査範囲や散水時間が増える傾向があります。
鉄骨ALC造の調査費用の目安
鉄骨ALC造では、雨漏り1箇所の調査で約30万円程度が一つの目安になります。
木造住宅と同じように、2箇所目以降は単純に基本料金を倍にするのではなく、調査内容や位置、難易度に応じて追加調査費を加算していきます。
ただし、ALC外壁の広範囲を調査する場合や、高所で複数箇所の散水が必要になる場合には、調査費用が増えることがあります。
さらに、足場、高所作業車、ゴンドラなどが必要な場合には、それらの費用が別途必要になります。
RC造の雨漏り調査
RC造とは、鉄筋コンクリート造のことです。
マンション、ビル、公共施設などで多く採用されています。
RC造で雨水の浸入原因になりやすい箇所としては、
・屋上防水
・外壁のひび割れ
・打継ぎ部分
・サッシ周辺
・シーリング
・笠木
・設備配管周辺
・バルコニー
などがあります。
RC造の雨漏りでは、外壁や屋上から浸入した雨水が、ひび割れや打継ぎ部分、各部の取り合いなどを通じて建物内部へ入り込むことがあります。
そして、実際に室内へ雨水が現れる場所が、外部から雨水が浸入した場所と離れているケースも少なくありません。
ただし、コンクリート内部で雨水がどのように移動しているのかを、非破壊調査だけですべて直接確認することはできません。
そのため、
・散水試験の結果
・赤外線サーモグラフィによる温度変化
・実際に漏水が確認された位置
・建物構造
・ひび割れや目地の状況
などを総合的に確認しながら、雨水の浸入箇所を絞り込んでいきます。
必要に応じて紫外線調査液を使用し、複数の調査箇所を区別しながら確認する方法もあります。
RC造の調査費用の目安
RC造についても、雨漏り1箇所の調査で約30万円程度が一つの目安になります。
2箇所目以降については、単純に基本料金を倍にするのではなく、追加調査費を加算していく考え方になります。
ただし、屋上と外壁など調査対象が大きく異なる場合や、複数面からの散水が必要な場合、調査範囲が広い場合などには、追加費用も大きくなることがあります。
RC造でも、高所の外壁などを調査する場合には、足場、高所作業車、ゴンドラなどの費用が別途必要になります。
雨漏りでは「一次浸入」と「二次浸入」を分けて考える
雨漏りでは、外壁などの不具合箇所から雨水が内部へ回り込む「一次浸入」と、その雨水が防水層などの不具合箇所からさらに室内側へ入り込む「二次浸入」を分けて考えることがあります。
室内で雨漏りが確認された場所と、最初に雨水が浸入した場所が一致するとは限りません。
また、壁の内部をすべて直接確認できるわけではないため、散水試験や赤外線サーモグラフィ、紫外線調査液、建物構造などをもとに、浸入箇所を確認し、その後の雨水の動きを推測していきます。
調査報告書では、確認できた内容と推測される内容を整理し、補修箇所や補修方法の提案につなげます。
雨漏り調査費用の基本的な考え方
木造、鉄骨ALC造、RC造で基本料金に違いはありますが、雨漏り調査費用の考え方には共通点があります。
基本的には、
「構造ごとの基本調査費」
+
「雨漏り箇所数に応じた追加調査費」
+
「必要に応じた足場・高所作業車などの費用」
によって算出します。
目安としては、
・木造 1箇所 約25万円〜
・鉄骨ALC造 1箇所 約30万円〜
・RC造 1箇所 約30万円〜
となります。
2箇所目以降は、単純に基本料金を倍にするのではなく、調査位置や難易度、必要な散水時間などを考慮して追加料金を設定します。
また、どの構造であっても、調査場所によっては足場、高所作業車、ゴンドラなどが必要になります。
そのため、
「木造だから必ず安い」
「RC造だから必ず高い」
ということではありません。
例えば、3階建て木造住宅で外壁に足場が必要なケースでは、足場を必要としないRC造の調査より総額が高くなることもあります。
「安い調査」と「原因を確認する調査」は同じではない
雨漏り調査を依頼するときには、料金だけを比較しないことも大切です。
たとえば、
「外壁のこのひび割れが怪しいと思います」
という目視による確認も、広い意味では雨漏り調査です。
一方で、
「この部分へ散水しても漏水しなかった」
「次の箇所へ散水したところ室内に変化が現れた」
「さらに調査を継続した結果、実際に漏水を再現できた」
というように、一つずつ原因候補を検証していく調査もあります。
両者では、必要な時間も人員も大きく異なります。
雨漏り調査を専門としている事業者では、散水試験、赤外線サーモグラフィ、紫外線調査液など複数の調査方法を組み合わせ、雨水の浸入箇所を特定するところまで調査する場合があります。
一方、比較的安価な調査の中には、その後の補修工事を前提としているケースもあります。
すべての事業者がそうであるとは限りませんが、原因箇所を十分に確認せず、「疑わしい部分を補修して様子を見る」という方法では、雨漏りが止まらず、再発につながる可能性があります。
そのため、調査費用を比較するときには、
・散水試験を行うのか
・赤外線サーモグラフィを使用するのか
・紫外線調査液を使用するのか
・漏水を再現するところまで調査するのか
・調査報告書が作成されるのか
・補修箇所の提案まで含まれるのか
といった点まで確認することが重要です。
雨漏り調査で大切なのは「修理する場所を間違えないこと」
雨漏りが発生すると、できるだけ早く修理したいと考えるのは当然です。
しかし、十分な調査を行わずに補修すると、
「シーリングを打ち直したのに止まらない」
「屋上防水を改修したのに再び雨漏りした」
ということが起こる場合があります。
場合によっては、本来補修する必要のない場所に数十万円、数百万円の工事費用をかけてしまうこともあります。
雨漏り調査の目的は、壁の中の水の動きをすべて断定することではありません。
重要なのは、散水試験、赤外線サーモグラフィ、紫外線調査液などを活用しながら、
「どこから雨水が浸入しているのか」
を可能な限り明らかにすることです。
そのうえで、実際に確認できた事実と、建物構造などから推測される内容を区別し、適切な補修につなげていきます。
木造、鉄骨ALC造、RC造では、それぞれ建物構造も調査方法も異なります。
雨漏り調査の費用を比較するときには、単純な金額だけではなく、
「何箇所まで調査する料金なのか」
「どのような方法で調査するのか」
「原因となる浸入箇所の特定まで行うのか」
「足場や高所作業車の費用が含まれているのか」
まで確認することをおすすめします。
一般社団法人サーモグラフィ調査技術協会では、赤外線サーモグラフィ、散水試験、紫外線調査液などを組み合わせ、建物構造や漏水状況に応じた調査を行っています。
雨漏りの原因が分からない場合や、何度補修しても雨漏りが再発する場合、補修工事を行う前に原因箇所を確認したい場合には、まず建物の状況を整理したうえで、適切な調査方法を検討することが重要です。


